流行性耳下腺炎(おたふくかぜ,ムンプス)の登校停止期間について,学校保健安全法施行規則第19条は「耳下腺,顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し,かつ,全身状態が良好」であれば登校許可としています。実際には耳下腺腫を発症後6日以降で全身状態はきわめて良好であるものの,耳下腺・顎下腺・舌下腺の腫脹が著しい例が多々あります。診察医によっては,耳下腺腫脹の初診時に「5日経過したあとは登校してよい」と許可していたり,学校保健安全法の記載を根拠に,強硬に治癒証明を求める保護者もみられ,混乱しています。耳下腺腫脹が持続していても5日経過すれば登校停止を解除してよいのでしょうか。
(質問者:神奈川県S)
「耳下腺,顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し,かつ,全身状態が良好になるまで」との記載通りの出席停止でよいと判断します。全身状態の確認をするのが妥当ですので,初診時(発症早期)に登校時期の判断をするのは好ましくないと思います。また,出席停止の解除は,診察時点での耳下腺・顎下腺・舌下腺の腫脹にとらわれる必要はないと考えます。以下に概説します。
学校保健安全法施行規則改正(2012年4月1日施行)によって,流行性耳下腺炎(おたふくかぜ,ムンプス)の出席停止期間は,「現在の臨床等の実情等に照らし合わせて」変更されました。幼稚園,小学校,中学校等の学校教育法に規定された文部科学省の所管する施設における学校感染症について定められています。流行性耳下腺炎は,学校感染症第二種に指定され,空気感染または飛沫感染するもので,児童生徒等の罹患が多く,学校における流行を広げる可能性が高い感染症です。