「病状により学校医その他の医師において感染の恐れがないと認めたとき」が出席停止解除の定義ですが,出席停止基準は感染症ごとに個別に定められ,流行性耳下腺炎においては,「感染力の強い時期を出席停止期間とする」との考えに基づくようです。すなわち,①ムンプスは発症前にも感染力があり,無症候性感染が1/3であるために症候性感染者の出席停止だけで流行は完全に阻止できないこと,②腫脹は10日~2週間程度残る症例があり,感染力が弱まった後の出席停止は総合的に考慮して不要,との判断があると思われます。
文部科学省の「学校において予防すべき感染症の解説」1)には,「耳下腺等の腫脹が続いていること自体は,出席停止の基準にはなりません」と明記されています。「腫脹が発現した後5日を経過」については図1のように数えます。さらに腫脹が片側性,あるいは腫脹部位がバラバラな場合は,「最初の腫脹が出現した日を起点に数えます」と記載されています。
保育所(保育園)は厚生労働省の児童福祉法に基づく施設で,厚生労働省の所管ですが,「保育所における感染症対策ガイドライン 2012年改訂版」(厚生労働省)2)3)では,学校保健安全法に準拠した扱いをするとされています。
【文献】
1) 文部科学省:学校において予防すべき感染症の解説. [http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/ 1334054.htm]
2) 厚生労働省:保育所における感染症対策ガイドライン 2012年改訂版. [http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/hoiku02.pdf]
3) 日本小児科学会:学校,幼稚園,保育所において予防すべき感染症の解説. [http://www.jpeds.or.jp/modu les/activity/index.php?content_id=46]
【回答者】
伊藤嘉規 名古屋大学大学院医学系研究科小児科学 准教授