日本禁煙学会の作田学理事長は1月31日、日本外国特派員協会で会見し、国内大手メディアのたばこ報道について「大きく歪められている」と述べ、東京五輪・パラリンピックに向けた受動喫煙防止環境改善の「支障になっている」と問題視した。
作田氏は、日本のたばこ対策が世界的にみて遅れている要因として、日本たばこ産業(JT)が、テレビ局をはじめ多くのメディアの大口広告主になっていることや、財務省との強い結びつき(天下り先の提供、株式の保有)があることなどを指摘。
JTについてはまた、「ホームページで受動喫煙の害について、まだ明らかにされていないと主張している」との懸念を表明。
問題のある報道の例としては、「JTのイメージ広告・マナー広告の雑誌掲載」「禁煙はストレスを高め、体に良くないという医学部教授の見解を紹介した新聞記事」などを列挙した。
作田氏は、こうした報道によって厚生労働省が今国会提出を目指す受動喫煙防止対策を盛り込んだ健康増進法改正案の成立が「風前の灯火となっている」と懸念を表明。「東京五輪に向けて世界レベルの受動喫煙防止環境を整えていくために力を尽くしたい」と述べた。一方、宮﨑恭一理事は、「日本は文明国としてたばこの最後の砦」と述べ、「たばこの有害性について強いアピールが必要」と訴えた。