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認知行動療法の最前線から 【脳画像によって薬物療法との効果比較を視覚的に行う研究が進行中】

No.4842 (2017年02月11日発行) P.57

田口寿子 (国立精神・神経医療研究センター病院司法精神科医長)

堀越 勝 (国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター長)

登録日: 2017-02-08

最終更新日: 2017-02-07

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  • 認知行動療法(cognitive behavioral therapy:CBT)は,うつ病,不安障害の治療の第一選択としてその効果のエビデンスが確立されているだけでなく,統合失調症,心的外傷後ストレス障害(post traumatic stress disorder:PTSD),境界性パーソナリティ障害等にも推奨されるなど,その適応になる精神障害が広がっています。CBTの最前線での試み,またCBTは今後の精神科治療をどのように変えていく可能性があるのか,わが国におけるCBTの第一人者である,国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター・堀越 勝先生にご教示頂きたいと存じます。

    【質問者】

    田口寿子 国立精神・神経医療研究センター病院 司法精神科医長



    【回答】

    CBTは近年,医療分野だけではなく,教育,産業など様々な分野で注目されている精神療法です。わかりやすく体系的な介入法と治療の有効性によって,医療においては,精神科だけではなく他の診療科においても,治療ガイドラインに「CBT」の名称を見かけるようになってきました。たとえば糖尿病,慢性疼痛,心臓病,緩和ケアなどの治療ガイドラインには,身体疾患に併発するうつや不安への介入法として,また生活の質(QOL)の向上のため,さらには疾患に伴う痛みや不眠などの身体的な症状の軽減も視野に入れた介入法として推奨されています。

    (1)CBTの有効性
    CBTは1970年代頃から,軽度のうつに対して実証的に有効であることが報告されるようになり,現在では薬物療法とともに,うつ病に対する治療の第一選択とされています。うつ症状自体への効果については,薬物療法との間に大きな差はみられませんが,CBTは薬物療法に比べて,再発率の面で優れています。

    うつ病患者はCBTを通して,うつになりやすい思考パターンや問題解決策に気づき,これまでにない考え方のパターンや問題解決法を習得します。結果的に生活を変化させ,役に立つ様々なスキルを身につけることになります。CBTは軽度のうつ病への治療を皮切りに,不安障害,重度のうつ,不眠症,その他の不安障害(パニック障害,強迫性障害,PTSDなど),最近では慢性疾患に伴ううつや,不安を含めた精神的な問題,また慢性疼痛や過敏性腸症候群などの身体化への介入法としても応用されています。

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