株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

(1)骨吸収抑制薬による骨粗鬆症治療の現状と課題 [特集:進化する骨粗鬆症治療]

No.4719 (2014年10月04日発行) P.20

竹内靖博 (虎の門病院内分泌センター部長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-23

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • next
  • 骨粗鬆症治療の基本は骨吸収抑制薬である

    骨吸収抑制薬にはビスホスホネート製剤,デノスマブ,選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)およびエルデカルシトールがある

    患者の骨折リスクと,各々の薬剤の持つ骨折抑制効果および長期使用における安全性に基づいて治療薬を選択する

    骨粗鬆症治療は長期に及ぶため,治療薬の切り替えについても検討が必要となる

    1. 骨粗鬆症治療薬の作用点

    骨粗鬆症治療の目的は骨折の予防である。アレンドロネートに代表される窒素含有ビスホスホネート製剤の登場以降に骨粗鬆症治療薬として承認された薬剤はすべて,何らかの骨折抑制効果が実証されたものである。しかしながら,その作用機序や薬剤特性および臨床的有用性はそれぞれ異なっており,それらを理解した上で,対象となる患者に適した薬剤を選択することが大切である1)
    骨粗鬆症治療薬の作用点は,腸管(十二指腸・小腸近位部)からのカルシウム吸収促進,骨形成促進および骨吸収抑制の3箇所である(図1)。このうち,腸管からのカルシウム吸収促進にはもっぱら活性型ビタミンD3製剤が貢献する。骨形成促進は,骨芽細胞の活性化によりもたらされる。現在,骨芽細胞を活性化することが実証されている薬剤はテリパラチドのみである。骨吸収抑制は,破骨細胞の形成あるいは機能を阻害することで得られる。

    2. 骨吸収抑制薬の分類

    現在,骨粗鬆症治療の基本は骨吸収抑制薬であるが,その作用機序は多彩である。ビスホスホネート製剤は,骨基質に蓄積した後に骨吸収の過程で破骨細胞に取り込まれてその機能を阻害する。選択的エストロゲン受容体モジュレーター(selective estrogen receptor modulator:SERM)は,主に骨芽細胞に作用して,その破骨細胞形成支持能を妨げると考えられている。SERMはエストロゲン受容体を介して作用する薬剤であり,破骨細胞への直接作用も推測されている。デノスマブは,破骨細胞形成と活性化に不可欠なサイトカインであるRANKL(receptor activator NF-κB ligand)に対する中和抗体である。また,活性型ビタミンD3 製剤の1つであるエルデカルシトールは,破骨細胞形成に必須の転写因子であるc-fosの発現を抑制する作用を有しており,ビタミンD3 製剤でありながら,骨吸収抑制作用を発揮する。

    残り6,310文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    長崎県五島中央病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 整形外科 1名
    勤務地: 長崎県五島市

    当院は下五島地域唯一の基幹病院として、長崎大学病院等と連携しながら、五島で完結できる医療を目指しています。
    離島内の他の医療機関では出来ない高度・専門医療や離島で不足しがちな救急医療、周産期・小児医療、精神科医療、回復期医療を提供することで“郷診郷創”(地域での受診が地域を創る)を進めています。
    共に地域医療を担っていただける医師を募集しています。

    癌などの専門的治療の他、精神・結核などの政策医療、24時間2.5次救急にも対応しています。
    3次救急患者については、遠隔画像伝送システムを利用し、本土までヘリコプター搬送して住民の命を守っています。
    また、基幹型臨床研修病院として、研修医の受け入れも行っています。

    ロケーション的には、美しい海と豊かな自然に恵まれ、四季を通じて、マリンスポーツや釣りが楽しめます。
    ショッピング等については、中型・大型のスーパーが数店舗あり、ファミリーレストラン・コンビニエンスストアもありますので、基本的に不便を感じることはないと思います。
    食に関しては、五島牛や新鮮な魚介類、季節の旬な野菜が何時でもおいしく食べることができます。
    共に五島で働きましょう。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top