脳梗塞急性期からのスタチン服用は、海外で行われたいくつかの観察試験で、その有用性が示唆されていた。しかし、わが国でランダム化試験を行ったところ、発症当日の服用開始と7日後開始の間で、90日後の機能回復に有意差はなかった。米国ヒューストンで開かれた国際脳卒中学会議最終日、24日のセッションで、兵庫医大の吉村紳一主任教授が“ASSORT”試験の結果として報告した。
ASSORT試験の対象は、高コレステロール血症を呈する脳梗塞270例(一過性脳虚血発作、心原性塞栓症は除外)。入院時のNIHストロークスケール(NIHSS)中央値は3だった。
これらを、入院後24時間以内からスタチンを服用する「当日」群と、「7日後」から服用する群にランダム化した。スタチンは3種のストロングスタチンを使用。追跡は盲検化されなかったが、評価者には、患者がどちらの群か伏せられた(PROBE法)。
その結果、1次評価項目である「90日後の修正ランキン・スケール(mRS)」分布は、両群間に有意差を認めなかった。介助を必要としないmRS「0〜2」の割合は、当日群69.5%、7日後群66.6%、「障害なし」であるmRS「0、1」に限っても、53.5%と46.8%だった。
有意差がみられないのは、年齢(70歳の上下)、発症時LDLコレステロール濃度(100mg/dLの上下)、発症時脂質異常症治療の有無、脳梗塞の病型などで分けた、いずれのサブグループでも同様だった。安全性も、両群間に有意差はなかった。