PCV7導入後,ワクチンでカバーされない血清型の肺炎球菌による侵襲性感染症が増加しつつある
PCV13への切り替えで,より幅広い血清型の肺炎球菌感染症の予防が期待される
DPT-IPV導入によりポリオワクチン関連麻痺の発症リスクがなくなり,接種回数も増えないスケジュールとなった
接種者・被接種者の利便性および接種率向上のために,混合化ワクチンの導入が待たれる
B型肝炎ウイルスの母子感染予防スケジュールの変更により,出生直後からHBワクチンを投与することとなった
日本では,先進国と比べて公的に接種するワクチン,すなわち予防接種法に定められた定期接種ワクチンの数が少ない,いわゆる「ワクチン・ギャップ」の問題が近年しばしば取り上げられてきた。それを受けて,厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会などにおいて,7つのワクチン(Hibワクチン,小児用肺炎球菌ワクチン,成人用肺炎球菌ワクチン,ヒトパピローマウイルスワクチン,水痘ワクチン,ムンプスワクチン,B型肝炎ワクチン)が「広く接種を促進していくことが望ましい」とされ,2013年4月から施行された新しい予防接種法では,インフルエンザ菌b型(Haemophilus influenzae type b:Hib)感染症,小児の肺炎球菌感染症,ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus:HPV)感染症の3疾患に対するワクチンが定期接種に追加された。また,それに先立ち,接種後の副反応が問題となっていた経口生ポリオワクチン(oral polio vaccine:OPV)も2012年9月から不活化ポリオワクチン(inactivated polio vaccine:IPV)に変更された。
このように接種可能なワクチンの増加・変更に伴い,特に乳児期の接種スケジュールが複雑となってきており,接種間違いや接種の適切な時期を逸するといったリスクが増すことが危惧される。また,可能な限り早期の接種,高い接種率の維持,被接種者の負担軽減などの観点から,同時接種の実施や混合化ワクチンの導入も重要な点である。
本稿では,近年新たに日本で導入されたワクチン,接種スケジュールが変更となったワクチン,混合化ワクチンに関していくつか取り上げ,その目的と効果,課題などについて概説する。
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