国連世界食糧計画(国連WFP)と日本電気(NEC)は9日、地球規模の感染症パンデミックが発生した際に、医療・救援物資の輸送状況を可視化する世界初の「物流情報管理プラットフォーム」を共同開発することを発表した。
プラットフォームは、防護服や医療器具などの物資を適切な場所に迅速に供給するために、62品目の緊急人道支援物資在庫の現状把握・分析や物流情報管理、ニーズの把握などを可視化するもの。日本政府が拠出した100万米ドルを予算として今夏をメドに完成を目指す。その後は、国連WFPが各国政府から募った760万米ドルで、輸送路障害による迂回や適正倉庫配置、原材料の安定供給などの最適化に向けた開発を行う予定。
NECの遠藤信博代表取締役会長は、パンデミックが判断される前からシステムを動かす必要があることから、パンデミックとシステムをコネクトするタイミングが課題とした。さらに、「パンデミックは非常にローカルな場所で起きる。ネットワークが確立されていない場所でパンデミックが起きた時に、どのような方法でネットワークやコミュニケーションを成立させ、物流全体の最適化を図る経営管理手法を組み、データを集めるかというプロセスづくりが非常に難しい」と話した。
2014年のエボラ出血熱パンデミック時には、物流網や需要・供給の情報不足などによる支援の重複、非効率性が課題となった。今回のプラットフォーム開発はその対策の一環として実施される。