世界保健機関(WHO)でたばこ対策を主導するダグラス・ベッチャー生活習慣病予防部長が7日、厚生労働省で会見し、「屋内完全禁煙は世界標準。各国で多大な支持を受けており、政治家も事業者も恐れる必要はない」と述べ、2020年東京五輪を機に、日本でも受動喫煙防止対策を強化するよう訴えた。
厚労省は3月、罰則付きの受動喫煙防止対策を定めた健康増進法改正案の提出に向け、小規模バーなどを除く飲食店、ホテル、劇場、職場を原則屋内禁煙としつつ、喫煙室設置を認める案を公表している。現在の日本の受動喫煙防止対策に関するWHOの評価は4段階中の最低ランクだが、ベッチャー氏は「厚労省案でも1ランク上昇するだけ。部分的禁煙では効果がない」と指摘。
屋内完全禁煙化に反対する飲食業界や政治家の主張に対しては、米豪加などでの研究で「経営に負の影響がないことは科学的に実証済み」とし、ニュージーランドの研究では従業員の欠勤減少や医療費節約などの効果も確認されたことを紹介。一方、負の影響を示した研究については、「大半の論文で未知の団体からの資金提供が確認されている。査読誌への掲載数も少ない」とした。