太田睡眠科学センターは睡眠医療に特化した診療所であり,8割以上を占める睡眠呼吸障害患者の診療を中心に行う総合型睡眠医療センターである。当院では睡眠障害の診断ツールとして睡眠ポリグラフ(PSG)検査を年間1200件程度実施しているので,その診療経験を紹介する。
睡眠呼吸障害の代表的な臨床症状として日中の眠気(日中傾眠)が知られているが,実際は不眠症状を訴えることも多い。当院の調査では,連続抽出した受診患者2750人の主訴は,いびきや無呼吸52.0%,日中傾眠19.3%,不眠症状11.8%であり(図1),不眠の訴えが意外に多いことがわかる。不眠症状の内訳は,中途覚醒が最も多く,続いて熟眠感欠如,入眠困難であった。これらの患者の60.1%が睡眠呼吸障害で最も多く,6.1%がレストレスレッグス症候群(restless legs syndrome:RLS)や周期性四肢運動障害(periodic movement in sleep:PLMD)と診断された。精神生理性不眠症,精神疾患に伴う不眠症など,いわゆる不眠症と診断されたのは27.3%であった。
この結果から,不眠症状を呈した場合でも,睡眠呼吸障害の検索を問診の段階で積極的に行う必要があることがわかる。
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