病歴(検査データは異常値のみ)
36歳,男性。会社員。
入社時は身体活動量が多い部署に配属されていたが,異動でデスクワーク中心になった。食べる量は若い頃とあまり変わらず,外食時には大盛りを注文することが多い。10年前に比べて体重は約10kg増加した。
運動は嫌いではないが,仕事が忙しくて実施するのが難しい。職場にはいつも菓子が置いてある。特に生クリームが好き。
お腹周りが大きくなったことが気になり,何度も減量を試み,1カ月間で7~8kgの減量に成功したことはあるが,長続きしない。
これまでの減量方法は,キャベツだけダイエット,炭水化物抜きなど。
身長178.8cm,体重94.0kg,BMI 29.4,腹囲102.2cm,空腹時血糖106mg/dL,HbA1c 6.1%,尿酸7.8mg/dL。
飲酒:3合以上3回/週(職場で飲み会が多い)。喫煙:なし。運動:なし。
問題点
▶自分は,やればいつでもできると思っている
▶経年で体重は増加傾向にあり,検査値にも異常が出てきている
このままでいくと,メタボリックシンドロームなど生活習慣病関連の検査値異常が増悪し,服薬も必要になる可能性もあること,今のうちに減量しておくことが望ましいことを説明した。「今まで様々なダイエットをしてきた。どうすれば効果が出るかは自分が一番わかっている」との発言あり。翌年の健診まで経過をみたい,との意見を尊重した。
もう少し,積極的に介入するべきだったのだろうか?
「自分はまだ若く,医療機関に世話になる状況ではない」と思っている。信頼関係はまだ構築できていないと思われる。
これまでに様々なダイエット法を経験し,減量が成功したこともある。「自分は,やればできるのだ」という自信がある。しかしいずれも長続きしていない。いわば,過去の成功体験が邪魔になっている。
「仕事が忙しく生活習慣改善に取り組む気になれない」と思っている。2~3年前からは検査値異常を指摘されるようになったが,「要受診レベル」は今のところ1つもなく,本人の危機感は薄い。
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