(高知県 F)
まず,代謝性アシドーシスは,大別してアニオンギャップが増加する場合(この場合は血清クロールは低下します)と,アニオンギャップが正常な場合(高クロール血症を伴います)にわけることができます1)。
前者の代表として,糖尿病にみられるケトアシドーシス,重症の循環障害などにみられる乳酸アシドーシス,メタノール中毒などの薬物によるアシドーシスが挙げられます。状況にもよりますが,これらの多くは高カリウム血症を伴います。
一方,アニオンギャップが正常な代謝性アシドーシスとしては,何らかの原因による重炭酸喪失,すなわち下痢,尿細管障害が代表的な疾患となります。この場合,低カリウム血症と高クロール血症を伴います。低カリウム血症の原因疾患は,腎または消化管からのカリウムの,①排泄増加,②細胞内への移行,③摂取量の著しい減少,に大別されます。腎からの排泄増加としては原発性アルドステロン症,遺伝性尿細管疾患(バーター症候群,ギテルマン症候群など),ループ利尿薬投与などで,多くは代謝性アルカローシスを伴いますが,尿細管アシドーシスによるカリウム喪失の場合は代謝性アシドーシスを伴います。摂取量の著しい減少は,食品のほとんどはカリウムを含むため,実際には稀です。
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