2015年6月,日本小児がん研究グループ(JCC G)の発足に伴い,わが国における小児がん治療体制は大きく変わりつつある。
小児がん診療では,白血病やリンパ腫に代表される血液悪性腫瘍,神経芽腫,腎腫瘍,肝腫瘍,横紋筋肉腫,ユーイング肉腫,脳腫瘍,胚細胞腫瘍など独自の研究グループがあり,多施設共同研究により治療成績の向上が行われてきた。JCCGの設立により全国統一したデータセンターや,遺伝子診断を含めた中央診断のシステムが確立し,新しい治療法の導入も活発となり,国内だけでなく国際共同治験も進行中である。
近年,成人がんでは免疫療法が脚光を浴び,手術療法,放射線療法,化学療法に次ぐ第4の治療として地位を確立しつつある。その中でもPD-1,PD-L1阻害薬に代表される免疫チェックポイント阻害薬や,キメラ抗原受容体発現T細胞療法(CAR-T)は,多くのがんに対しての効果が期待されている。化学療法に関しても各種がん抗原をターゲットとしたモノクローナル抗体や,シグナル伝達経路の特定分子を標的としたチロシンキナーゼ阻害薬などが数多く開発され,ファーストラインの治療に導入されている。
小児がんは成人がんに比較し化学療法が効きやすく,その治療成績も良いことが知られているが,新しい治療体制の確立により,治療成績だけでなくフォローアップ体制なども向上していくものと期待される。
【参考】
▶ 日本小児がん研究グループ(JCCG). [http://jccg.jp/]
【解説】
鶴田敏久 東京女子医科大学小児科准教授