患者の高齢化に伴い,「病気や障害と共存しつつ生活を支える」という医療ニーズの流れを受けて打ち出されたのが,「医療と介護の一体的改革」であり,2014年に成立した「医療介護総合確保推進法」にその内容が反映されている1)。今後の医療は「地域のニーズに応じた医療資源の適正配置」を可能にするための「機能分化と連携」が推し進められる。
「地域連携」は医療資源を,患者のニーズに応じて有機的に結びつけるための仕組みであり,病床機能の明確化は,異なる機能を持つ病床間あるいは在宅療養資源との連携を進める必要性を高め,ほとんどの医療機関において,何らかの地域連携部署の設置が必須となっている。
地域に目を向ければ,医療職以外の多職種や地域住民を巻き込んだ新たな地域連携の仕組みの根幹を成す概念が「地域包括ケアシステム」である。「地域包括ケアシステム」とは,団塊の世代が75歳以上となる25年を目途に,「主に高齢者世代が要介護の状態になっても住み慣れた地域で暮らせるために,住まいと住まい方の確立を前提に,医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるための仕組み」と定義される2)。
【文献】
1) 厚生労働省:医療と介護の一体的な改革. [http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/ 0000060713.html]
2) 厚生労働省:地域包括ケアシステム. [http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/]
【解説】
鈴木裕介 名古屋大学医学部附属病院 地域連携・患者相談センター病院准教授