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深部静脈血栓症を簡便にスクリーニングするには?【詳細な病歴,家族歴の聴取が有用】

No.4859 (2017年06月10日発行) P.58

射場敏明 (順天堂大学大学院医学研究科救急・災害医学教授)

登録日: 2017-06-06

最終更新日: 2017-06-06

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  • 災害時に深部静脈血栓症(deep vein throm­bosis:DVT)が話題になりますが,日常の診療において,メタボリックシンドロームではない人に突然DVT,肺血栓塞栓症(pulmonary embolism:PE)が発症することがあります。血液検査の結果,アンチトロンビン(AT),プロテインC(PC),プロテインS(PS)等が低値であったため,発症しやすかったことは結果的に理解できますが,発症しやすい人をスクリーニングするのに簡便な方法はあるのでしょうか。

    (宮城県 O)


    【回答】

    日本人におけるPE,あるいはそのほとんどの原因を占めているとされるDVTのリスクファクターについては,日本循環器学会をはじめとする複数の学会が合同で作成した「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2009年改訂版)」1)にまとめられています。

    それによると,危険因子として,まずウィルヒョウの3項目,すなわち,①血流の停滞,②血管内皮障害,③血液凝固能の亢進,が挙げられています1)。ご質問にもあるように,災害時には避難所生活や車中泊などにより,血栓症のリスクは飛躍的に増大することが知られています。これは下肢を下げた状態で長時間過ごさざるをえないことによる「血流の停滞」,そして供給不足やトイレを我慢するために起こる摂取水分量不足に伴う脱水,血液濃縮に伴う「血液凝固能の亢進」が起因しています。

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