芽球の増加を伴う骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes with excess blasts:MDS-EB)や骨髄異形成に関連した異常を伴う急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia with myelodysplasia-related changes:AML with MRC)では,化学療法による治癒は難しく,同種移植が行われることが多いと思います。de novoのAMLでは,寛解導入療法および地固め療法で寛解を得た後に同種移植を行いますが,MDS-EBやAML with MRCの場合はいかがでしょうか。
このような症例に対する同種移植の前処置も含め,虎の門病院の山本久史先生のご教示をお願いします。
【質問者】
塚田信弘 日本赤十字社医療センター血液内科副部長
MDS-EBとAML with MRCは,ともに非常に不均一な疾患群であり,血球減少のみで長期間安定する症例から短期間で急激な芽球増加を伴う例まで,臨床経過は多彩です。最適な移植時期や移植前化学療法の適否を含めた至適移植方法は確立しておらず,症例ごとに各施設の判断によるところが大きいのが現状と思われます。以下,私見を中心に述べさせて頂きます。
(1)移植前の化学療法
MDS-EBやAML with MRCに対する化学療法やメチル化阻害薬の寛解率は決して高くなく,造血不全の遅延に伴う致死的感染症や臓器障害の併発が懸念されます。全身状態を悪化させてからの移植は,場合によっては移植施行が困難になる可能性も秘めているため,移植前の化学療法の実施は慎重であるべきと思います。
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