小児難病などの患者が成人期になるにつれて必要となる「移行期医療」をテーマに、厚生科学審議会の「難病対策委員会」と社会保障審議会の「小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する検討会」が5日、初の合同会議を開いた。会合では、賀藤均委員(国立成育医療研究センター病院)が、国のモデル事業として実施している小児診療科と成人診療科の移行連携の取り組みを報告。厚生労働省は、移行期医療の体制整備や連携の手続きなどのノウハウを盛り込んだガイドを作成する方針を示した。
小児期医療の進歩により、小児期に重篤な難治性疾患を発症しても原疾患自体や合併症が継続しながら成人期を迎える患者が増えているが、患者の受け入れを巡っては小児診療科と成人診療科の連携不足が指摘されている。
賀藤氏は、移行期医療の連携を進める上での課題として、①他施設の成人診療科に移行する場合、移行先での支援スタッフの確保が困難になる、②地域の開業医が移行先となる場合、救急時の受け入れ先となる成人医療機関の確保が重要になる、③患者よりも家族と小児科主治医の間に強い信頼関係があり、家族が転院・転科を不安視する─などを挙げた。また、先天代謝異常症など、大半の成人診療科の医師が診療経験のない疾患では「成人後も小児診療科で診療を続ける選択肢もある」とした。