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OCT angiographyの発展と限界【比較的短時間で高画質の広角撮影が可能に。ただし,血管透過性の評価はできない】

No.4864 (2017年07月15日発行) P.58

加藤 聡 (東京大学医学部眼科学教室准教授)

石羽澤明弘 (旭川医科大学眼科学教室)

登録日: 2017-07-13

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  • 光干渉断層血管撮影(optical coherence tomography angiography:OCTA)は,造影剤を用いることなく,OCT撮影をするだけで網膜・脈絡膜血管内の血流の状態が把握できる新しい技術と考えています。造影剤注射という全身的な合併症を起こす可能性のある処置が不要なことが魅力的なのですが,将来的にOCTAが蛍光眼底撮影にとって代わるものになるのでしょうか。現状での限界とともにお教え下さい。旭川医科大学・石羽澤明弘先生にお願いします。

    【質問者】

    加藤 聡 東京大学医学部眼科学教室准教授



    【回答】

    眼科診療において,今やOCTは,網脈絡膜の構造変化を検出する上で必要不可欠な診療機器となりました。そのOCTを用いて,信号変化のある部分(動く部分,つまり血流)と変化のない部分(組織)の差を取ることにより,造影検査に近い網脈絡膜血管画像を非侵襲的に得ることができるOCTAは,まさに眼科医の需要にマッチした技術であり,急速に普及しはじめています。

    OCTAでは,蛍光漏出の影響を受けないため,新生血管の形態そのものを観察することが可能になります1)。開発当初は,黄斑部の3×3mmという狭い画角が標準的な撮影部位であったため,加齢黄斑変性などにおける脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization:CNV)が鮮明に描出されることが大きく注目されました2)

    CNVが検出されても,治療〔抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)療法など〕により完全な退縮が得られるわけではなく,CNVの活動性の評価には,OCTAよりも通常のOCT(断層像)での滲出変化の確認が必要です。また,OCTAには様々なアーチファクトが存在し3),CNVがあると誤認する可能性もあります。よって実臨床において,黄斑部CNVの検出には,OCTAをまず撮影し,CNVの有無や病型の判断に迷う際には造影検査を考慮するという流れが想定されます。

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