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慢性低Na血症治療の意義:骨粗鬆症,心不全との関連【骨粗鬆症,心不全の予後悪化を防ぐためにADH受容体拮抗薬が注目を集めている】

No.4864 (2017年07月15日発行) P.50

熊谷天哲 (帝京大学地域医療支援講座特任講師)

内田俊也 (帝京大学内科教授)

登録日: 2017-07-11

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低ナトリウム(Na)血症は,重症の場合には傾眠,痙攣,昏睡などの中枢神経症状をきたすことはよく知られている。慢性で軽度の低Na血症に関しては,これまでそれほど注目されてこなかった。最近の報告で,慢性的な軽度の低Na血症患者は,明らかな症状がなくとも,軽度の認知障害や歩行障害から転倒しやすく1),また,低Na血症と骨粗鬆症との関連も示唆されており2),骨折のリスクが高いことが示されている3)

低Na血症が骨粗鬆症を引き起こすメカニズムに関しては,骨石灰化の減少,破骨細胞活性の増加などが示されている。さらに,低Na血症は軽度であっても心不全患者の予後を悪化させることが,多数の疫学研究で報告されている4)。低Na血症が心筋の線維化につながるとの基礎研究もあり,低Na血症自体が心臓に悪い影響を引き起こす可能性がある。

したがって,慢性無症候性低Na血症を積極的に治療することは,臨床的に重要な意義があると考えられるようになった。近年,ADH受容体拮抗薬が臨床導入され,慢性低Na血症における同薬剤の治療効果が注目されている。

【文献】

1) Kinsella S, et al:Clin J Am Soc Nephrol. 2010; 5(2):275-80.

2) Verbalis JG, et al:J Bone Miner Res. 2010;25 (3):554-63.

3) Ayus JC, et al:Clin J Am Soc Nephrol. 2010;5 (2):167-8.

4) Kovesdy CP, et al:Circulation. 2012;125(5): 677-84.

【解説】

熊谷天哲 帝京大学地域医療支援講座特任講師

内田俊也 帝京大学内科教授

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