日本動脈硬化学会の山下静也理事長(りんくう総合医療センター)が18日、都内で開かれたセミナー(主催:MSD)で講演し、一般向けの書籍・週刊誌などを通じて流布されているLDLコレステロール(LDL-C)にまつわる誤解に対し、研究データを用いて反論した。
講演で山下氏は、「LDL-Cの下げすぎは身体に悪い」という風説を取り上げた。追跡調査「NIPPON DATA 80」のデータを示しつつ「総死亡率はLDL-C260mg/dL以上で最も高く、次に160mg/dL未満で高くなっており、“Jカーブ現象”がみられる。単純に解釈すれば、低LDL-Cは悪いように見える」と指摘。しかし、LDL-Cが下がりやすい肝疾患とがん(最初の5年間に発症)による死亡を除けば、低LDL-C域での総死亡率上昇は消失することから「『LDL-Cは高いほど良い』という見方は大きな間違い」と強調した。
さらに、胎児のLDL-C値(10~20mg/dL)などを例に出し「スタチンで極端にLDL-Cが下がる人はがんや甲状腺機能亢進などの背景を調べる必要があるが、基本的にLDL-Cを下げて問題になることはない」とした。
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