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医療機関へのヘルスケアリート,適用は時期尚早だ[お茶の水だより]

No.4692 (2014年03月29日発行) P.137

登録日: 2014-03-22

最終更新日: 2017-07-27

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▶高齢化の進展でヘルスケア施設の供給拡大が求められる中、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に特化した不動産投資信託(ヘルスケアリート)市場の環境整備が進んでいる。国交省は2月28日、取得・運用に関する指針素案を公表した。リート(Real Estate Investment Trust)自体は金融商品のことだが、一般的には不動産投資証券を発行する投資法人を指す。資金調達力に優れているとされ、「日本再興戦略」にもヘルスケアリート設立の推進が盛り込まれた。
▶日本の高齢者施設の定員数が高齢者人口に占める割合は4.4%に過ぎない。施設の需要は増す一方だが、開業・改修には多額の資金が必要だ。ヘルスケアリートを活用することで外部からの資金調達が容易になり、さらに所有と運営が分離されるため事業者は施設の運営に専念できるとされている。高齢者施設の供給不足は「待ったなしの状態」(国交省)で、既に株式会社が運営に参入している有料老人ホームやサ高住などについては、施設の短期売買を制限するなど運用面で一定の配慮をすれば、導入するメリットは大きい。
▶国交省は4月に有識者会議を立ち上げ、6月をメドにヘルスケアリート運用に関する指針をまとめる方針で、「慎重な検討が必要」としつつ医療機関への適用も視野に入れている。対象には投資効果のある一定規模以上の病院が想定されるが、それらの病院では今改定の影響による病床転換などで改修が必要になるケースも少なくない。さらに病室等の面積の測定も内法に統一されるためコスト増は必至だ。各病院にとって、銀行借り入れ以外の手段で外部資金を調達できるヘルスケアリートを受け入れやすい土壌は整えられつつある。
▶医療機関に適用された場合、どうなるか。収益が上がらずヘルスケアリートが想定する配当を得られなければ、現状より設備投資が難しくなる可能性もある。リートが転売を考えても、市場から魅力的な医療機関と映らなければ売買そのものが成立しない。投資を回収できないと判断すれば施設を単なる不動産として売却し、廃業となる懸念すらある。
▶年ごとの改定で大きな影響を受ける医療機関の運営に不可欠なのは中長期的な視点だ。今現在、絶対数が圧倒的に足りない高齢者施設とでは事情が異なる。ヘルスケアリートの医療機関への適用は時期尚早だ。

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