質問
生活習慣病患者が多いクリニックや,訪問診療を多く行っているクリニックでは,「データ提出加算」を算定したほうがよい,という話を聞きます。具体的な内容と,必要な準備を教えて下さい。
回答
令和6年度の診療報酬改定では,特定疾患療養管理料についての大幅な見直しがありました。これは医療にとっては大きな変更点で,生活習慣病管理料の算定を余儀なくされ,事務作業が増加する上に診療報酬が下がってしまったという医療機関も多いかと思います。そのような状況の中で,単価アップのための施設基準として検討する価値のある診療報酬が外来データ提出加算です。
デメリットとしては,データを取得・作成するプロセスがかなり難解で手間がかかるため,十分な準備を必要とする点が挙げられます。今回は制度概要とともに,届出までに必要な準備をお伝えします。
データ提出加算とは,医療機関が患者の診療情報をデータとして提出することに対して,診療報酬が加算されるもので,3種類あります(表1)1)。データの提出内容はそれぞれ違いますが,加算点数は一律月1回50点です。
もともとデータ提出加算は入院医療では一般的に行われていたものですが,外来や在宅,リハビリについても2023(令和5)年10月から算定できるようになった診療報酬で,外来医療の質や量を分析し,適切な医療を提供するために新設された施設基準です。今まではこの加算をとる医療機関はほとんどなかったのですが,令和6年度の診療報酬改定を受けて,外来データ提出加算の算定を試みる医療機関が増加しています。
データ提出加算の点数は1月1人当たり50点なので,500円の報酬となります。内科の1回当たりの診療が約5000円ですので,10%ほどの増加ととらえることができます。対象者が100名いれば,100×500円=5万円で,年間では60万円にもなり,収益向上のための大きなインパクトとなります。