子どもの発達障害の対応には,医学領域だけでなく,臨床心理士,言語聴覚士,さらに,子どもの主要な生活場面の1つである学校,つまりは教育分野との連携・協力が欠かせないことは既知の事実である。ディスレクシア児の場合は,問題自体が学級運営に支障をきたすわけではないため,教育分野においても知られてこなかった。
日本語は漢字・平仮名・片仮名の3種の文字を使う言語であり,その科学的解明が必要であること,医学領域からだけでなく,臨床心理士,言語聴覚士の参入,治療・指導に向けた教育分野との連携・協力がきわめて重要であることを臨床医にもご理解頂きたいと切に願い,本特集を企画した。我々はひそかに苦しむディスレクシア児が笑顔になれる日を夢見てもいるのである。
1 発達障害におけるディスレクシアの医療と現状
クリニック・かとう院長/一般社団法人日本ディスレクシア協会代表理事 加藤醇子
2 ディスレクシアにおける音韻の問題
上智大学大学院外国語学研究科言語聴覚研究コース准教授 原 惠子
3 学校教育の中のディスレクシアとその周辺の子どもたち
お茶の水女子大学学校教育研究部特任教授 安藤壽子