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制御性B細胞と膠原病【制御性B細胞の機能低下が膠原病の発症や病勢の悪化に関与】

No.4867 (2017年08月05日発行) P.62

松下貴史 (金沢大学皮膚科講師)

登録日: 2017-08-02

最終更新日: 2017-08-01

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膠原病におけるB細胞の重要性は,関節リウマチ患者においてB細胞除去療法が予想以上の治療効果を上げたことから,全世界で脚光を浴びるようになった。しかしながら,B細胞除去療法が必ずしも有益でない症例も報告されている。この理由は,B細胞が自己免疫や炎症を促進するだけではなく,抑制する作用も併せ持っているためである。

この相反するB細胞集団は,「悪玉」と「善玉」B細胞の概念で理解されている。「悪玉」B細胞はeffector B細胞と呼ばれ,自己免疫反応を促進する働きがある。一方,「善玉」B細胞は制御性B細胞(regulatory B細胞:Breg細胞)と呼ばれ,自己免疫反応を抑制する働きがある。マウス実験から,B細胞除去療法が効果を現すには,それぞれの病期におけるeffector B細胞とBreg細胞のバランスが重要であることが示されている1)。また近年,全身性エリテマトーデス,関節リウマチ,全身性強皮症患者2)においてBreg細胞の数の減少や機能低下を認め,疾患活動性と逆相関することが報告され,Breg細胞の機能低下が膠原病の発症や病勢の悪化に関与している可能性が示唆されている。

今後,Breg細胞の機能がさらに解明され,新規治療法が開発されることが期待される。

【文献】

1) Matsushita T, et al:J Clin Invest. 2008;118(10): 3420-30.

2) Matsushita T, et al:Rheumatology(Oxford). 2016;55(2):263-7.

【解説】

松下貴史 金沢大学皮膚科講師

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