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(3)乾癬に対する光線療法の進歩─医療経済面を考えた治療 [特集:変化しつつある乾癬治療の今]

No.4761 (2015年07月25日発行) P.28

森田明理 (名古屋市立大学大学院医学研究科加齢・環境皮膚科学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-15

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  • 乾癬には,外用・内服・光線療法,生物学的製剤の4つの治療があり,皮疹の範囲,重症度,皮疹の部位,年齢,リスクなどの背景から治療の選択を行う

    PASIスコアが10以上,BSAが10%以上であれば,全身療法である内服・光線療法,生物学的製剤が選択される

    生物学的製剤の登場によってPASI 90/100がめざせるようになったが,生物学的製剤は医療経済上の負担が大きい

    光線療法は,外用で難治な皮疹に対して早期からの併用(ターゲット型光線療法),生物学的製剤で一部残るか再燃する皮疹に対しての併用が可能である

    光線療法は,基本的なリスクは低く,生物学的製剤によるリスクのある場合も使用可能である

    1. 乾癬治療の基軸となる4つの治療

    乾癬治療の基軸となる4つの治療に,外用・内服・光線療法,生物学的製剤があるが,まず外用から開始して,明らかな改善がみられた場合を除き,図1に示すように光線療法を選択する。改善されない場合は内服,さらに改善されなければ生物学的製剤が選択されるか,もしくは先に内服を行う。それでも改善されなければ,光線療法が選択されることもある。しかし,光線療法での大きな問題は,少なくとも週1回の照射を行わなければ改善がみられないため,患者には週1回通院するという大きな負担が強いられることである。
    一方,内服療法として現在選択されているシクロスポリンは,欧州では2年まで,米国では1年までにとどめることが推奨されているが(わが国では推奨期間を設けていない),長期投与による腎障害・高血圧が問題となっている。
    もう1つの内服療法であるエトレチナートは,ビタミンA誘導体であり,乾癬や掌蹠膿疱症などに用いられる。通常量の投与では,口唇炎,手足の皮膚めくれ,脱毛を生じることがあり,そのためエトレチナートの使用は,生物学的製剤の登場とともに限定的になるものと推定される。そのほか,中性脂肪の上昇や肝障害などが生じることもあり,定期的な血液検査が必要である。また,エトレチナートは催奇形性があり,体内に長くとどまることから,たとえ中止していても,内服中止後,女性で2年間,男性で6カ月間避妊する必要があり,処方ごとに服用に関しての注意事項に患者から同意を得なければならない。また,長期内服で,骨異常(過骨症)を引き起こす可能性もあるので,特に関節症性乾癬に対しての投与は限定的にすべきであり,長期投与は避けるべきである。
    外用が無効だった場合に,次の選択として生物学的製剤を投与する方法も考えられるが薬剤投与によるリスクと費用の問題は大きい。

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