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小耳症手術における移植軟骨フレームの固定材料についての最新の知見【固定材料の露出や術後変形の認められない吸収性縫合糸が適している】

No.4868 (2017年08月12日発行) P.51

力丸由起子 (久留米大学解剖学顕微解剖・生体形成部門)

清川兼輔 (久留米大学形成外科・顎顔面外科主任教授)

登録日: 2017-08-09

最終更新日: 2017-08-07

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小耳症の耳介形成術における自家軟骨移植では,主に肋軟骨が用いられる。しかし,軟骨には弾性があり,捻れや弯曲して元に戻ろうとする性質があるため,軟骨同士の固定には絶対に緩みが生じないよう,一般的にワイヤーが用いられる。

軟骨移植後の長期的な問題点としては,軟骨の部分的な吸収による変形や固定材料の露出などがある1)。そこで,筆者らの施設で1984~2007年の約24年間に肋軟骨移植による耳介形成術を施行し,術後追跡可能な122症例を対象として,ワイヤー(84例),ナイロン糸(5例),吸収性縫合糸(33例;撚り糸28例,モノフィラメント糸5例)について,固定材料の露出や緩みによる術後変形の有無を調査した。ワイヤーとナイロン糸では,固定材料の露出がそれぞれ22.6%と40%に認められた。また,ナイロン糸では緩みによる変形が1例(20%)に認められた。一方,吸収性縫合糸の33例では,全例で固定材料の露出や術後変形が認められなかった。

以上の結果より,小耳症手術での軟骨の固定材料としては,長期的な露出のリスクを考慮すると吸収性縫合糸が最も適した材料であると考えられる2)

【文献】

1) Tai Y, et al:Plast Reconstr Surg. 2006;117(7): 2414-23.

2) Sakamoto A, et al:J Plast Reconstr Aesthet Surg. 2012;65(5):584-9.

【解説】

力丸由起子*1,清川兼輔*2  *1久留米大学解剖学顕微解剖・生体形成部門 *2久留米大学形成外科・顎顔面外科主任教授

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