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(2)脳卒中による高次脳機能障害 [特集:脳卒中リハビリの今]

No.4763 (2015年08月08日発行) P.24

前島伸一郎 (藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学Ⅱ講座教授)

岡本さやか (藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学Ⅱ講座講師)

岡崎英人 (藤田保健衛生大学医学部連携リハビリテーション医学講座准教授)

園田 茂 (藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学Ⅱ講座教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2021-01-05

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  • 高次脳機能障害の原因疾患では脳卒中が最も多い

    脳出血や脳梗塞では,局在が明確な巣症状である失語症や半側空間無視が多くみられ,くも膜下出血では記憶障害や遂行機能障害などが主症状となることが多い

    高次脳機能障害は,適切な検査と詳細な観察,そして正しい解釈を行わなければ,病状を正確に把握することができない

    高次脳機能障害を有する患者は,慣れた環境で日常生活活動が自立していても,就労や就学などの社会参加に至らない場合が多く,退院後の生活を想定したリハビリテーションアプローチを行うことが大切である

    1. 高次脳機能障害とは

    高次脳機能障害は脳の器質的病変によって,言語,思考,記憶,行為,学習,注意などの知的機能に生じた障害をいう。この中には,失語,失行,失認に代表される比較的局在の明確な大脳の巣症状,注意障害や記憶障害などの欠落症状,感情障害や幻覚・妄想などの精神症状,判断・問題解決能力障害,行動異常などが含まれる1)。これらは患者が日常生活のみならず,社会生活を送る上で大きな阻害因子となる2)3)
    大脳では左右の半球で異なる情報処理がなされている。一般に,言語や行為,計算などに関しては左半球が優位で,視空間構成や空間的注意に関しては右半球がその役割を担っている(図1)。左半球損傷では失語や失書,失読,ゲルストマン(Gerstmann)症候群,観念性失行,観念運動性失行が,右半球損傷では半側空間無視や病態失認,着衣失行,motor impersistence,相貌失認などがみられる。いずれも単独でみられることは少なく,症状の重複するものが多い。

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