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生体吸収型スキャフォールド(BRS)の特徴と今後の見通し【遠隔期における新規動脈硬化がなくなり,安定することが期待されるデバイス】

No.4869 (2017年08月19日発行) P.58

安田 聡 (国立循環器病研究センター心臓血管内科部門長/副院長)

上妻 謙 (帝京大学医学部内科学講座循環器内科教授)

登録日: 2017-08-16

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  • 経皮的冠動脈インターベンションの新たなデバイスとして,生体吸収型スキャフォールド(bioresorbable scaffold:BRS)が開発されました。
    BRSの特徴と今後の見通しについてご教示下さい。帝京大学・上妻 謙先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    安田 聡 国立循環器病研究センター心臓血管内科部門長/副院長


    【回答】

    血管内に異物が存在することによって血栓形成が起こったり,炎症を惹起したりすることから,冠動脈内に異物を残さないようにするコンセプト・治療法が重要と考えられるようになってきました。そのひとつとして,BRSが脚光を浴びたわけです。完全に溶けて消失した遠隔期において,ステント内によくみられる異物反応による新規動脈硬化がなくなり,2剤併用抗血小板療法(dual antiplatelet therapy:DAPT)も不要になることが期待されるデバイスです。

    (1)BRSの現状と課題

    実際には,性能が向上した第2世代以降の薬剤溶出ステント(drug eluting stent:DES)に比べて,早期のみならず遠隔期の血栓症の頻度も高いことが示され,むしろDAPTを長期必要とすることが強調されるようになっています。既にわが国でも臨床使用の承認を受け,薬価も収載されている機器が市場に出ていますが(ABSORB GT-1®,アボットバスキュラージャパン社),まだ施設を限定した市販後調査のみが行われているのが現状です。欧米でも血栓症のリスクの点から,むしろ使用に制限がかかっている状態で,慎重に使用されています。

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