厚生労働省の「一類感染症に関する検討会」(西條政幸座長)は1日、海外からの帰国者が国内でエボラ出血熱を発症した際の対応を議論した。厚労省は議論がまとまり次第、「一類感染症に含まれるウイルス性出血熱(エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病、ラッサ熱、南米出血熱)に対する積極的疫学調査実施要領」に盛り込む予定。
検討会では、感染拡大防止の観点から、患者の状況を①初期症状出現前、②初期症状出現時(発熱、発汗等)、③嘔吐、下痢、出血症状が出現時─に分類し感染リスクを議論した。2014~16年に西アフリカで発生したエボラ出血熱パンデミック時に、現地で治療に当たった足立拓也構成員(豊島病院)は、エボラ出血熱から回復した患者や医療従事者への聴き取り調査の結果を「11人中7人は、患者の汚物や吐物を素手で処理したなど、感染した理由がはっきりとしている」と紹介。嘔吐、下痢など症状が進んだ段階以外での感染リスクは低いとの見解を示した。その上で「初期症状出現前の感染リスクは考える必要はないというのは専門家の一致した意見」と説明した。
一方、症状が進んだ段階では、構成員から「利用した場所や移動手段を把握し、対応する必要がある」「関わった全ての人を同列に扱うのではなく、感染リスクに合わせて対応すべき」などの意見が出された。
厚労省は議論を踏まえ、初期症状出現前は不特定多数への注意喚起は行わず、症状が進んでいる段階では「吐物の周りを歩いた、跳ね返りがあったという人については注意喚起する」との方向性を示した。