国立がん研究センター、国立循環器病研究センターなどの研究チームは8日、日本人男性では、食事からのマグネシウム摂取量が増えるほど虚血性心疾患の発症リスクが低くなる傾向がみられたとするコホート研究の結果を公表した。
研究で追跡対象としたのは、1995年と98年に岩手、沖縄など全国9保健所管内に住んでいた、がんや循環器疾患の既往のない45~74歳の男女8万5293人。追跡開始時に実施した食事内容などに関するアンケートの結果からマグネシウム摂取量を推計し、一番少ない群(Q1)から一番多い群(Q5)まで5群に分け、Q1を基準に脳卒中と虚血性心疾患の発症リスクを比較した。
約15年間の追跡期間中、4110人が脳梗塞・出血性脳卒中を、1283人が虚血性心疾患を発症した。他のミネラルの摂取量を調整した上で、虚血性心疾患の発症リスクをみると、男性ではQ4のハザード比(HR)が0.70(95%信頼区間〔Cl〕:0.50~0.99)、Q5のHRが0.66(95%Cl:0.44~0.97)と有意に低くなっていた。一方、女性ではQ3でHRが0.61(95%Cl:0.39~0.96)と有意に低くなっていたが、Q4、Q5で有意差は認められなかった。マグネシウム摂取量と脳卒中の発症リスクは、いずれの病型でも関連が認められなかった。
研究成果はClinical Nutrition誌に掲載された。