日本医療安全調査機構が医療事故調査制度のセンター調査の結果を公開する考えを示したことについて、日本医療法人協会の医療安全部会(小田原良治部会長)は8日、「センター業務の逸脱行為」と批判した。
同機構は事故調の第三者機関である「医療事故調査・支援センター」の運営を担う。医療事故が発生した医療機関は院内調査を行い、当該医療機関または遺族の依頼があればセンターが再調査を行う。センター調査報告書は遺族と医療機関にのみ交付するが、機構の高久史麿理事長は先月、「センター調査による再発防止策は貴重な提言なので、将来的には個人情報を伏せた形で広く知ってもらうよう厚生労働省と話をしたい」との意向を表明していた。
これに対し医法協医療安全部会は8日に会見を開き、声明を発表。センター調査は院内調査の検証業務であり、そこで得られた情報についても「(医療法)第6条の16の規定に従い、複数事例の類別化、分析を行い、その共通課題を見つけることがセンター業務である」と強調。「調査結果の公開は法律からの逸脱」と強く批判し、「厳格に法に従った活動を行うべき」と訴えた。
さらに小田原氏は同日、厚労省医政局総務課長らと面談した際、既に同課が機構に対して「勇み足はしないように」と伝えた、と聞いたことも紹介した。