子ども虐待は,再発率が高く,再発すると致死率が上がっていく重症な小児疾患であるため,日常診療では見逃してはならない
虐待においては早期発見のポイントを知り,発見したら通告をし,児童相談所や市区町村などと連携しつつ「子どもが第一の原則」に則って医療者も子どもを守っていく
子ども虐待というと,児童福祉法や児童虐待の防止等に関する法律(以下,児童虐待防止法)で扱われるべき児童福祉問題ととらえられがちであるが,暴力を受ければ外傷を負うこともあるし,栄養を与えられなければ発育障害を起こすこともある1)。このように,虐待は子どもの身体に影響を及ぼし,再発率が高く,再発すると致死率が上がっていくという特徴を持つ2) 重症な小児疾患である。たとえ,外傷の程度が軽症であっても,子ども自身が負うリスクの大きさは,事故外傷の場合とは比べものにならない。したがって,子ども虐待は日常診療でも見逃してはならないと言える(表1)。
子どもを虐待から救い出すためには,まず,虐待・ネグレクトに気づく目を持つことが必要である。以降,子ども虐待に気づくためのポイントを列挙する。
例:ソファやベビーベッドからの落下事故なのに,子どもが致死的状態に陥っている。
例:未歩行の乳幼児が大腿骨らせん状骨折を負っている。
例:「赤ちゃんが自分で転んだ」と言っていたのに,「上の子が(この子を)押し倒した」などと説明が変転する。
例:同じ形をしたパターン外傷,新旧混在する外傷が多発している。
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