【質問者】
井上 真 杏林大学医学部付属病院眼科(アイセン)ー 教授
網膜剝離や増殖硝子体網膜症に対する硝子体手術において,剝離している網膜を術中復位させても,術後一定の期間は復位状態を維持させる必要があります。このため,手術終了時に硝子体腔を眼内タンポナーデ物質で充填することになり,ガスタンポナーデまたはシリコーンオイルタンポナーデを選択することになります。一般的に網膜剝離に対する初回手術では,眼内で濃度勾配により血中へと拡散する六フッ化硫黄や八フッ化プロパンといった気体をタンポナーデ物質とします。しかし,長期のタンポナーデを要する重症網膜剝離では,シリコーンオイルを選択する症例も存在します。シリコーンオイルは長期滞留ガスとは異なり,眼内から消失することはなく,再手術によって抜去する必要があります。
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