近年、成人先天性心疾患(adult congenital heart disease:ACHD)という部門が注目されています。その名のとおり、幼少期に先天性心疾患で手術などの治療を受けた患児の成人期の医療を担当する部門です。
わが国では昭和40年代頃から小児循環器医療が積極的に開始され、ファロー四徴症などに対する修復術が始められました。先人たちの努力の結果、現在では小児先天性心疾患患児の多くが成人を迎えるようになり、初期に治療を受けた患児らは現在40~50歳代に突入しています。また、わが国では少なくとも40万人以上の成人先天性心疾患患者がいると言われています。
心房中隔欠損症や心室中隔欠損症に対する根治術後のケースであればさほど問題にはなりにくいですが、Eisenmenger症候群などを合併している未手術症例や手術後の遺残症や続発症のようなケースでは、年齢を重ねるとともにより慎重な対応が望まれます。
先天性心疾患に精通した小児循環器科の先生方に診療を継続して頂ければ良いのですが、成人期になれば、新たに高血圧や不整脈、虚血性心疾患などのリスクが増え、これらが病態に悪影響を及ぼす可能性もあり、やはり我々循環器内科医の介入が必要となってきます。
残り560文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する