(石川県 S)
①抗アレルギー薬
広義ではアレルギー疾患の治療薬のすべてを含みますが,一般的にアレルギー疾患の慢性長期管理に使用され,H1受容体拮抗作用を持たない薬を意味しています。メディエーター遊離抑制薬〔クロモグリク酸ナトリウム(インタール®)など〕,トロンボキサンA2阻害薬〔ラマトロバン(バイナス®)など〕,ロイコトリエン拮抗薬〔モンテルカスト(キプレス®)など〕,Th2サイトカイン阻害薬〔スプラタスト(アイピーディ®)〕があります。
②抗ヒスタミン薬
H1受容体拮抗作用以外に抗炎症作用や抗アレルギー作用も持っています。抗ヒスタミン薬と抗アレルギー薬の最も大きな違いは即効性であり,抗アレルギー薬は効果が発現するまでに数週間ほどの時間がかかり,抗ヒスタミン薬ほど「効いた」という実感が少ないのです。
抗ヒスタミン薬は,Daniel Bovetらにより1937年に合成され,多くの化合物のスクリーニングから安全性の高い薬を見出して臨床使用を開始しました。プロメタジンに代表される第1世代抗ヒスタミン薬は,中枢神経系作用薬(抗精神病薬や抗うつ薬など)の原型にもなり,抗うつ薬や統合失調症治療薬の一部は,最も強力なH1拮抗作用を持っています。Bovetは,その業績により1957年にノーベル医学・生理学賞を受賞しています。
①第1世代抗ヒスタミン薬
アレルギー疾患に効果が認められる一方で,血液─脳関門を通過するために鎮静作用が強いという欠点がありました。また,H1受容体への選択性が少なく,抗コリン作用による口渇,尿閉,頻脈などの副作用が現れる頻度も高かったのです。QT延長など心毒性,局所麻酔作用,抗セロトニン作用も知られています。これらの重大な欠点を克服すべく,H1受容体選択性が高く,脳内移行性の低い,血漿中半減期の長い第2世代抗ヒスタミン薬が開発されています。
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