今年もインフルエンザの流行期が近づいてきた。主流となるウイルスの亜型によって、患者の年齢層、ワクチンの効果などの傾向は大きく変わってくる。今シーズンはどのような流行をみせるだろうか。
国立感染症研究所などのまとめによると、昨2016/17シーズンの流行期入りは11月中旬と、例年より1カ月程度早かった。ただ、ピークは1月下旬~2月上旬で過去3シーズンと同様だった。シーズン中に検出されたウイルスのうち8割以上をA/H3N2亜型(A香港)が占め、主流となった。2月末からはB型も流行を見せはじめ、4月上旬には検出割合でA香港を上回り、新学期になってからも学級閉鎖や休校が散発した。
さらに遡って2015/16シーズンをみると、A/H1N1pdm09(2009年にパンデミックを起こした後、季節性として定着)が主流を占めていた。
近年のインフルエンザの流行では、H1N1pdm09とA香港がシーズンごとに交互に主流を占めるという“パターン”が指摘されているが、今シーズンは経験則に基づく予測は通用しないかもしれない。
今年、香港と豪州は“異例の流行”に見舞われた。香港では例年、冬に大きなインフルエンザ流行のピークを迎え、夏にも小規模なピークがある。しかし、今年は夏に冬を超える規模の流行が発生した。香港の衛生当局は、5〜8月に検出されたウイルスの9割近くがA香港だったと発表している。
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