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【話題1】乾癬の治療[特集:今、話題になっていること ─皮膚科編]

No.4878 (2017年10月21日発行) P.28

佐野栄紀 (高知大学医学部皮膚科学講座教授)

登録日: 2017-10-20

最終更新日: 2017-10-18

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  • 乾癬は,表皮の増殖,分化異常および炎症と免疫の異常が複合した炎症性角化症である。遺伝性の因子に環境要因が引き金となり,成人以降に発症することが多い。わが国では,保険レセプト上で約55万人(罹患率0.44%)の患者が存在する1)

    乾癬は分厚い銀白色の鱗屑が付着する円形,楕円形の紅斑局面が四肢伸側,腰背部,頭部,殿部などに好発し,全身にも拡大しうる(図1)。多くは瘙痒を伴う。病理組織では,過角化と表皮肥厚,表皮突起延長,顆粒層消失など表皮の所見に加えて,真皮毛細血管の増加,リンパ球や好中球など炎症細胞の浸潤を認める(図1)。約10~15%の患者には関節症状が出現(関節症性乾癬)し,さらに少ない頻度ではあるが,表皮に無菌性好中球性膿疱が集蔟する亜型(膿疱性乾癬)も存在する。

    過去の乾癬治療

    (1)コールタール外用

    100年以上前より用いられてきたが,わが国では発がん性の危惧から使用されなくなった(その後,発がんの危険性は否定された)。400以上の化学物質の混合であり,どれが主成分か不明であるが3~6週間の外用治療で奏効率80%との報告がある2)。これに紫外線療法を併用するゲッケルマン療法(Goeckerman’s regimen)はさらに効果的であった(p.45「コラム」参照)。

    (2)anthralin(dithranol®)外用

    100年以上前に偶然,乾癬への効用が発見された。皮膚刺激症状や色素沈着などの副作用があるが,特にステロイド外用抵抗性の難治例に有効との報告がある3)

    (3)その他の外用薬4)

    水銀剤,クリザロビン,ピロガロール,ヒドロキノンなど。

    (4)副腎皮質ステロイド

    トリアムシノロン。病巣内局所注射,乾癬爪にも有効4)

    (5)超軟X線4)(デルモパン,限界線)

    湿疹など,他の炎症性皮膚疾患や白癬にも用いられてきたが,発がんのリスクがあり,現在は使われない。

    (6)その他の全身療法4)

    副腎皮質ホルモン内服,発熱療法,乾癬ワクチン,牛脳下垂体移植法,ヒ素などの重金属など。

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