小児期の食物アレルギーは,乳児期にアトピー性皮膚炎に伴って発症するタイプと食物摂取後に即時型症状を呈し発症するタイプが主である
正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去が食物アレルギー管理の原則である
食物アレルギーの診療には,食物経口負荷試験(OFC)を中心とした病診連携が必要である
小児期の食物アレルギーの有症率は,乳児期5~10%,幼児期5%,小中高生4.5%と報告されており1),その頻度は低くない。したがって,診療所でも食物アレルギーの患児に遭遇する可能性は十分にあり,その診断および管理は大変重要である。
食物アレルギーの診断において,抗原特異的IgE抗体は参考になるが,検査が陽性であっても該当食物を摂取可能な場合が少なくない。正確な診断には食物経口負荷試験(oral food challenge test:OFC)の実施が必要だが,重篤な症状が誘発される可能性があるため,専門施設での実施が望ましい。このことから食物アレルギーの診療には,OFCを中心とした病診連携が必要である。本稿では,食物アレルギーの代表的な臨床型と診断プロセス,診断後の管理,病診連携のタイミングについて概説する。
小児期食物アレルギーのタイプとして最も頻度が高い。乳児期にアトピー性皮膚炎に伴って発症する。原因食物として,鶏卵,牛乳,小麦が多い2)。生後数カ月以内に顔面・頭皮から始まる瘙痒を伴う湿疹を認め,スキンケアやステロイド療法を行っても,寛解・増悪を繰り返し,改善がみられないのが典型例である。池松ら3)は,乳児期アトピー性皮膚炎の74%が食物アレルギーを合併していた,と報告している。
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