厚生労働省の「がん検診のあり方に関する検討会」(大内憲明座長)は7日、保険者や事業者が任意で実施する職域がん検診の参考となるマニュアル案を了承した。職域がん検診のマニュアル策定は初めて。厚労省は近く、各保険者や日本経済団体連合会、日本商工会議所などに通知を発出する予定。
「2016年国民生活基礎調査」によると、がん検診受診者の3~6割が職域がん検診を受けているという。一方で、職域がん検診は法的根拠がなく、保険者や事業者によって実施方法が異なっている。
これを踏まえマニュアルでは、①胃がん、②子宮頸がん、③肺がん、④乳がん、⑤大腸がん―の5種のがんについて、検査項目や対象年齢、受診間隔を明記。このうち胃がん検診では、50歳以上の者に対して原則2年に1回、問診に加え、胃部エックス線検査もしくは胃内視鏡検査を実施するとした。
マニュアルでは、検診受診率や要精検率、精検受診率、がん発見率などの精度管理指標も提示。市町村が実施する対策型検診と同様に、職域でも評価を行う必要性を指摘した。ただ、対策型検診に比べ、職域では比較的若年層の受診者が多い。厚労省は今後、職域がん検診の実態データを収集する体制を構築し、精度管理指標を示す方針だ。
厚労省はマニュアルの位置付けについて、職場からの離職や休職を防ぐためのより早期の発見などといった「職域で特定の目的をもって行われている既存の任意型検診を妨げるものではない」としている。