高齢者,薬剤や基礎疾患による免疫不全者は,一般集団よりも食品媒介疾患に高い感受性を示す。しかし,疾患群間でこの感受性増加の程度は大きく異なる
発生率はサルモネラやカンピロバクターで高いが,死因としてはサルモネラとリステリア感染症が重要である
高齢者や免疫不全者での食品媒介感染症では,菌血症や,腸管感染以外の病型がみられることがある
食品媒介感染症の対策ではまず,特定のグループが他の者よりも大きなリスクにさらされていることを認識することが重要である
安全な調理方法として“Five Keys”,すなわち,①清潔に保つ,②調理済み食品と生の食品は分離する,③徹底的に調理する,④安全な温度で食品を保管する,そして⑤安全な水と原材料を使用する,が重要である
先進国では,人口の約20%が年齢(乳幼児,高齢者),妊娠,薬剤や基礎疾患による免疫抑制の状態であり,一般集団よりも食品媒介疾患に高い感受性を示す。基礎疾患としては,原発性免疫不全,血液悪性腫瘍を含めた悪性腫瘍,免疫系疾患,後天性免疫不全症候群,糖尿病,肝臓疾患,腎臓疾患,血中鉄過剰などが含まれる。栄養失調や制酸薬,特にプロトンポンプ阻害薬の使用も感受性を増加させる。しかし,これら疾患群間でこの感受性増加の程度は大きく異なっている。感受性は多くの要因に依存する(表1)1)。医師は危険にさらされている者を識別することができるかもしれないが,リスクを定量化するのは容易ではない。
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