株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

米国心臓病学会(ACC):ランダム化試験“POISE”1年追跡:非心臓手術周術期β遮断薬は心筋梗塞を減らすが死亡を増やす

登録日: 2018-03-13

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

DECREASE-I試験の不正が明らかになった2014年以降、「非心臓手術への周術期β遮断薬の有用性」が疑問視されるようになった。そこでこの点を確認すべく行われたのが、大規模ランダム化試験“POISE”である。30日追跡結果は2008年のLancet誌に掲載されたが、本学会では1年追跡結果が報告された。30日追跡と同様、β遮断薬は心筋梗塞(MI)を抑制する反面、総死亡を増加させていた。ポピュレーション・ヘルス研究所のPJ Devereaux氏が報告した。

本試験の対象は、動脈硬化性イベント既往/高リスクを有する、45歳以上の非心臓手術8351例である。β遮断薬群とプラセボ群にランダム化され、二重盲検法で追跡された。いずれも術前2−4時間と6時間後に通常量の半量を、術後30日間は通常量を服用した。  対象の平均年齢は69歳、術前の平均心拍数は78拍/分、血圧は139/80弱mmHgだった。

1年後の総死亡率はβ遮断薬群:10%、プラセボ群:9%となり、β遮断薬群における有意なリスクの増加が認められた(HR:1.16、95%CI:1.01−1.34)。内訳を見ると、心血管系(CV)死亡リスクは有意に増えておらず(HR:1.10、95%CI:0.89−1.36)、非CV死亡リスクが増加していた(HR:1.22、95%CI:1.01−1.48)。総死亡、CV死亡とも、両群のカプランマイヤー曲線は、試験開始直後から乖離が始まっていた。

またCVイベントを比較すると、β遮断薬群では心筋梗塞と冠血行再建術の絶対リスクがそれぞれ、1%、0.5%有意に減少していたものの、脳卒中は逆に1%の有意増加だった。

Devereaux氏は「(MI減少など)β遮断薬の有効性を危険なく引き出す方法が見つかるまで、(周術期)β遮断薬の使用には注意が必要だ」とのコメントを出している。

本試験は、カナダ保健研究所など公的組織5機関とアストラゼネカ社から資金提供を受けた。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top