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α遮断作用ある抗精神病薬とアドレナリンの併用禁忌が解除、添付文書改訂へ

No.4900 (2018年03月24日発行) P.10

登録日: 2018-03-16

最終更新日: 2018-03-22

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薬事・食品衛生審議会の安全対策調査会(五十嵐隆調査会長)は15日、アナフィラキシーの救急治療に関して、アドレナリン製剤とα遮断作用のある抗精神病薬の併用禁忌を解除することで一致した。学会の要望や国内外のガイドラインを反映した。厚生労働省は近日中に、製薬企業に対し、添付文書を改訂して両薬剤を「併用注意」とするよう指示する方針。

抗精神病薬のうちα遮断作用のある薬剤と、「エピペン」などに代表されるアドレナリン製剤の併用は、薬理学的に昇圧反転を生じる恐れがあるとして、現行では禁忌とされている。しかし、アナフィラキシーは生命に関わる事態であり、国内外のアレルギー診療ガイドラインでも医師の裁量の下での併用を認めている。

アレルギー専門医として出席した海老澤元宏参考人(国立病院機構相模原病院)は、自閉症関連症状に適応拡大したアリピプラゾールを例に挙げ、「自閉症児は健常児より食物アレルギーの合併率が高く、アドレナリンとの併用場面も多いとみられる。欧州は併用禁忌としていない」などと指摘し、禁忌解除を支持した。

■プロポフォールの妊産婦禁忌を削除

同日の調査会は、全身麻酔・鎮静用剤プロポフォールについて、帝王切開での使用を念頭に、妊産婦を禁忌から外すことも了承した。改訂後の添付文書の「妊婦、産婦、授乳婦への投与」の項を「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」とする。

現行の同薬の添付文書では、胎児に移行して呼吸抑制を生じるとして、妊産婦には「投与しないこと」とされている。一方、国内のガイドラインでは、同薬は帝王切開に対する全身麻酔の導入・維持の選択肢となっており、重篤な転帰を辿った症例の報告もない。

麻酔科専門医の角倉弘行参考人(順天堂大)は「若手麻酔科医はプロポフォールに慣れており、用時調製のバルビツール酸系薬剤に困惑する場面もみられる」と述べ、妊産婦に対する緊急手術時の安全対策の観点から禁忌解除の利点を指摘した。

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