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医学生や、麻酔科で研修を受ける初期研修医を対象に、私が大学の講義や臨床実習で教えてきたことを中心に書き始めたのが本書である。いわゆるノウハウ本ではない。麻酔科学を学ぶうえで重要な基礎的事項や、麻酔科診療において知っておいてほしい重要な臨床的事項や安全確保対策をまとめた。基礎的事項では酸素や二酸化炭素、水、ブドウ糖などがもつ役割や、その調節機構について解説した。その基礎的事項を臨床につなげるようにと心掛けた。周術期の安全管理においては、気道評価や日常臨床で遭遇する疾患などの術前評価、麻酔導入から覚醒までの時系列に従った麻酔管理と、各科手術の麻酔の特徴について簡潔にまとめた。術前、術中管理に続き、術直後の管理や術後鎮痛法など術後管理についてもまとめている。周術期合併症の原因や対策については、別項にまとめた。
本書を書き進めるうちに、麻酔科専門医を目指す医師にも活用して頂けるのではないかと気がついた。できるだけ本文の内容は絞って絞って書き上げたので、基礎的事項や臨床のエッセンスがまとめられている。原因や対応、鑑別診断などは図表にまとめることにより、全体が一目でわかるようにした。私の前著でありライフワークとも言える『麻酔への知的アプローチ』は、考え方の道筋を示し、深く掘り下げ、最新の知見を取り入れたものであり、その内容は広く、深くなっている。本書にはそのエッセンスが詰まっている。本書をきっかけに、『麻酔への知的アプローチ』や、教科書などへ読み進めて頂ければと思っている。
本書が麻酔科学をこれから学ぶ医学生や臨床研修医、さらには専門医を目指す医師などに、広く活用されることを願っている。