緑内障は視覚障害の原因疾患の第1位である
自覚症状に乏しく,障害の進行もゆっくりしているためロービジョンケアが難しい
診療では,眼圧コントロールと視野障害の安定化の維持にとらわれて,ロービジョンケアまでが行われることが少ない
主なロービジョンケアは読字,書字,羞明,歩行のケアである
視野障害の部位と程度によりニーズが変わる
現在,視覚障害の原因疾患の第1位は緑内障である。しかし,年齢別に見ると18歳から59歳までは網膜色素変性症が多く,60歳から74歳までは糖尿病網膜症が多い。緑内障が最も多いのは75歳以上であり,その割合は約50%を占めている(表1)。残念ながら,眼圧下降以外の有効な治療法が確立されていないため,最終的に視覚障害に至ってしまうことがある。緑内障の中には視野障害の進行が比較的遅い原発開放隅角緑内障と急性発作を発症する原発閉塞隅角緑内障のほか,非常に高い眼圧をきたす発達緑内障や落屑緑内障,血管新生緑内障,ぶどう膜炎に併発する緑内障なども含まれ,それぞれの病型に合ったケアが必要である。
疫学調査では,緑内障の有病率は40歳以上の約5%と高頻度で,わが国では眼圧が正常な正常眼圧緑内障が多いため,発見が遅れロービジョンに至るケースもある。しかし,一般的なロービジョン外来でケアされる症例は意外に少なく,報告では黄斑変性症や糖尿病網膜症に続く2番目や3番目の症例数となっている(図1)1)~3)。これは,一般的な緑内障では視機能障害の進行が緩やかであり,患者が自然に順応あるいは対応しているため,不自由さの訴えが少ないためと考えられる。また,緑内障の治療では眼圧コントロールと視野障害の安定化が得られると,患者も医師も安心して継続治療に入ってしまうという疾患特異性からくるものであると考えられる。
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