僕は前・島根県立中央病院院長の菊池清院長先生(現・兵庫県立リハビリテーション中央病院子どものリハビリテーション・睡眠・発達医療センター長兼診療部小児科部長)がよくお話しされる「お世話」という言葉が好きです。菊池先生は「医師は人のお世話が仕事です」ときっぱり言われます。僕はこの言葉に感銘をうけ、「お世話」の定義づけを自分なりにアレンジしています。
先般、出雲市役所主催の医療介護連係のワークショップで発言の機会をいただいた際、「医療介護福祉に携わる者は、ライセンスを持った“Professional care提供者”(専門性を生かしたお世話をする人) です。お互いの技能と知恵を出し合い、患者さんの心と体の状態を常に良くすることを目指しましょう」と締めくくったところ、次に発言され方もそのまま、「Professional care提供者でありたい」と受けてくれました。これは嬉しかったです。
さて、今や医学部の競争倍率は僕らの学生時代では考えられないほどの高い学業成績が求められています。地元の島根大学医学部の学生さんが当院へ訪問診療実習に来院されますが皆さん大変優秀です。将来の医師はAIの進化で、診断・判断・情報はコンピューターのサポートが受けやすくなるので、知的であることに加え「人のお世話」ができる感情豊かなタイプの人がより求められると思いますし、最近同感してくれる医師がたくさんいます。