1995年に設立した当院の初代院長は父です。昨年末に仕事中に脳梗塞を来たし入退院を繰り返し、現在はリハビリ入院中です。回復したとはいえ発症時の生活レベルではなく、父や僕も今後の自分達の生活がどうなるのか先の見えない状況です。
話は変わり、最近の医院建築は開業医のプライバシーを重視した診療所専用が主流です。しかし、当院の建築当時、主流は診療所併用住宅でした。当院も三角屋根部分に居住スペースがあるので通勤は徒歩20歩。職住一致の環境を生かしています。僕の朝の診療までの日課をご紹介します。
家族のためにお味噌汁とパン食のユニークな朝食を作っています。医師の家内は自院の診療・大学病院のリウマチ外来・研究生活と3カ所かけ持ち。朝と日中はゆっくりしてほしいので、朝食と子供の教育は僕の担当です。これをするには職住一致はうってつけです。
食事が終わると階段を降りれば職場。朝の準備開始です。情報化時代だからこそ開業医がすべきことは朝に集中しています。
当院のレントゲンはご当地島根の島津製作所製です。稼働するには、エイジング作業(ウォーミングアップ)と呼ばれる、1日の立ち上げの時に低電圧から1分間隔で少しずつ電圧を上げる「空うち作業」が必要です。これにより管球の寿命を延ばします。
エイジング作業の間に、生化学分析装置、全自動血球計算機、グリコヘモグロビン測定器の立ち上げをします。30分程度はかかります。薬液切れがないかの確認が必要です。
当院では約110名程度の訪問診療を行っています。患者さんごとにケアマネージャー、訪問看護師、訪問薬剤師、訪問療法士とセキュリティの高い医療専用インターネット回線(まめネット)の在宅情報共有ツールで情報の相互書き込み閲覧をしています。朝のうちに前日の報告分を確認し、他職種からの質問への回答や、物品や書類の依頼がされたときに当院看護師による対応指示を検討します。緊急性が高い場合は当日の訪問診療予定に組み入れます。
前日に採血された血液検体が深夜のうちに検査会社に搬送され、分析されます。その結果がインターネット回線によりダウンロード可能となります。自分がオーダーした患者さんの検査結果を全て確認し、患者さんごとにレポートを作成します。すぐに連絡しなければいけない異常値の場合、朝7時を待って電話します。すぐに来院していただき紹介状を作成し当日病院を受診していただく場合がよくあります。
当院は市内で訪問診療を行っている診療所のうち6カ所の医療機関と連携を組んでおり、約300名弱の在宅患者さんに対して夜間休日を含む24時間365日いつでも臨時往診ができる輪番体制を整えています。患者さんからの電話はコールセンターで一本化していて、その報告があるのがちょうど7時です。昨夜の当番の先生の様子を確認し、仲間に伝えます。詳しくは、2017年3月31日の「面識のない在宅診療のチーム仲間」(http://jmedj2.com/archives/2017-03.html)をご覧ください。
およそこのような流れで7時30分まで準備をしています。
医療ICTの進歩のおかげで、早く、正確に情報を得ることができるようになりました。情報収集の結果、個別の患者さんごとの判断と次につなげるための十分な時間を朝に確保するようにしています。