僕の父は今、脳梗塞後のリハビリ中です。父の介護に関わりながらも、家族はそれぞれの活動を続けています。
講演タイトルは『我が家にさまざまな医療・介護スタッフがやってくる―在宅診療ではどんな病気、どんな時、誰が、どんな事をしてくれるの』です。
僕が団長を務めている、医師(Doctor)・看護師(Nurse)・地元芸術家(Artist)で結成された「DNAフィルハーモニック」(島根県出雲市)は毎年演奏会を開催しており、今年7月22日には第7回演奏会を行いました。当日は600人弱の方にお越しいただき、この中には、これまでクラシックには無縁であったもののDNAファンになって下さった医療機関の患者さんが200名弱はいらっしゃいました。
今回の演奏会のプログラムは
J.ブラームス作曲 大学祝典序曲
C.ライネッケ作曲フルート協奏曲二長調
J.ブラームス作曲 交響曲第二番二長調
でした。
医師である手納信一が独奏者としてライネッケ作曲フルート協奏曲二長調に挑み、難曲のソロに臨む姿に仲間として感銘を受けました。僕は木管楽器で最低音を受け持つコントラファゴット、医師の家内はフルートとピッコロで出演しました。家内はブラームス作曲 交響曲第二番の第一フルート奏者です。オーケストラの管楽器奏者は、演奏会のメインプログラムの交響曲の第一奏者となり、ソロを演奏することを目指します。
このオーケストラですが、来年の定期演奏会(新元号元年7月28日予定)には、日ごろオーケストラの演奏会には無縁な70歳以上の多数の患者さんに観客として来ていただく予定です。そこで、予防医学の内容をプログラムに盛り込み、医療関係者が主催するオーケストラとしてのアイデンティティーを発揮したいと思います。
現在検討している構成は2部構成で、1部は観客がオーケストラの伴奏で歌って体を動かす以下の内容です。
●手拍子:ヨハンシュトラウス作曲 ラデッキー行進曲
●座席で踊る:イタリアの大衆歌謡フニクリ・フニクラに振りを付けて座席で体を動かしていただく。
●客席で歌う曲は2曲。ベートベン作曲 交響曲第9番第4楽章「歓喜の歌」の部分抜粋 中田喜直作曲「夏の思い出」
どうですか。楽しそうでしょ。
1部で観客の音楽会への参加モチベーションを高め、2部では僕たちが一番演奏したい曲 J.ブラームス作曲 交響曲第4番を聞いていただきます。
このプログラムで心と体を使い、コンサートホールでオケと共に過ごすワクワクした気持ちを持っていただきたいと思います。
さて、僕たち夫婦がオーケストラ活動をしている間、2人の子供は野球活動です。折しも今年は第100回の甲子園大会があり、この夏、野球が大変注目されました。中3の長男が所属する野球チームは6月に市予選を勝ち抜き、7月の島根県大会に出場しました。残念ながら初戦敗退となりましたが、捕手として出場し、チャンスで何本かヒットを打ちました。僕も保護者会長としてお世話をさせていただきました。
小学4年生の次男はスポーツ少年団として野球の取り組みが本格化してきました。左利きなので投手を目指しています。息子が投手の立場になったことで、野手と投手は野球に取り組む気持ちが全く異なることが分かりました。
野手視点では、投手と言えば、対戦相手の投手からどのようにヒットを奪うかを考えます。保護者会長の視点では、猛暑下でのエース、準エースの体調が大変気になり、共に頑張れるように願い、声掛けをしていました。しかし、次男が投手を狙う立場になると、エース、準エースの心中は、互いのライバル心でバチバチなのだろうと分かってきました。
野手には8つのポジションがあり出場できる機会は多く、ライバルも割と曖昧です。 一方投手には一つのポジションしかなく、ライバルが誰なのかはっきりしています。一つのポジションを指名してもらえるよう自主的に毎日トレーニングする気構えが、小4にして自然に出来てくるのです。しかも試合に出るのがゴールではありません。試合でストライクを投げ、ある程度の結果を出さなければなりません。投手の出来次第で試合が決まる上に、過度な身体的負担がかからないよう怪我無く過ごさなければならないので大変です。 観客としてはチームの勝利を願うのですが、投手の気持ちは「選ばれて、なおかつ結果を出す」という思いが強いのです。
一般社会の中でもライバル関係は普通にありますが、日本人はあまり口に出さず内面にとどめます。しかし投手は、ポジションが一つしかなく、その日の調子が試合結果を大きく左右するという点で特異な存在だと思います。