□便秘は在宅医療において患者のQOLを著しく低下させ,介護負担の増加にもつながるため適切な診断,対処が必要となる。器質的疾患の有無を鑑別した上で,他の便秘の原因の有無を検索し,個々の病態や重症度に応じて治療を行うが,まず生活習慣の改善や食事療法を行い,効果が不十分な場合には薬物療法を考慮する。
□既往歴,現病歴の聴取とともに,食事内容や量,水分摂取量,常用薬,睡眠やストレスの状況など,生活全般について細やかに把握する。
□触診や聴診で腹部所見をとり,直腸指診で直腸内の硬便の有無,腫瘍,狭窄,痔疾患の有無,肛門括約筋の状態を診察する。大腸癌や腸閉塞等の器質的疾患が疑われる場合は,X線検査,注腸造影検査,CT検査,大腸内視鏡検査等を必要に応じて行う。
□パーキンソン病,甲状腺機能低下症,脳血管障害,脊髄損傷等の便秘の原因となる基礎疾患の有無の確認が必要である。
□抗コリン薬(パーキンソン病治療薬,抗うつ薬など),癌性疼痛に対する麻薬,鎮咳薬,降圧薬(Ca拮抗薬),利尿薬,制酸薬,Ca薬等,便秘の原因となる薬剤の服用の有無も確認する。
□排便がないことで,残便感,腹部膨満感,食欲不振,嘔気等の苦痛を感じているかどうかを確認する。また不安やストレスの有無,程度を把握する。
□排便状況を把握し,適切に対処することが可能な介護力があるかどうかを確認する。
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