□ここ数年で胃瘻の造設件数は激減している一方で,経管栄養患者数自体はそれほど減少していない(図)。
□在宅医療患者の経管栄養では,導入するかどうかが最大の課題である。
□経管栄養の導入については医学的な適応のほかに,本人,家族にどのように生きていきたいのかを確認し,造設すべきかどうかを詳細に検討する必要がある。その際,以下の3項目を参照されたい。
□予後:胃瘻造設後の予後は,欧米とわが国のデータに大きな解離があり,わが国での研究では欧米に比し予後は良好で,中央値は2年以上である1)。
□社会的環境:栄養経路によって社会資源の利用が制限される場合がある。特に経管栄養の管理を介護職員が行うことには規制があり,研修を受けなければできない場合が多く,そのことが受け入れを困難にしている(表1)2)。
□倫理的事項:不開始を検討する場合には,厚生労働省の人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン*1や,日本老年医学会の高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン*2を参考にして,利用関係者,家族の合意を形成する。
□栄養状態の評価を定期的に行う。体重減少率,経口摂取量,BMI,などの評価を行う。身長,体重はモニタリングの指標ともなるため,必ず計測する。
□胃瘻,経皮経食道胃管挿入術(percutaneous trans esophageal gastrotubing:PTEG)などでは挿入部の評価を毎回の診察時に行う。経鼻胃管では鼻翼の損傷,副鼻腔炎などに注意する。
□患者本人が経管栄養下での生を望んでいるのか,また家族はどのように考えているのかを把握し,それらの希望に沿うことを第一に考える。
□経管栄養を施行できるホームヘルパーがいるかどうかを高齢者支援センターなどに確認し,地域の資源を把握する。
□家族が経管栄養の実施ができるかどうかを把握しておく。
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