ほか編: | 大曲 貴夫(静岡県立静岡がんセンター感染症科部長) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 232頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2010年04月25日 |
ISBN: | 978-4-7849-6406-2 |
付録: | - |
外来での感染症診療は「本当のところどうすればいいのか?」そんなジェネラリストの疑問に応え、また診療の具体的な参考となるテキストがまさにこの1冊!執筆者は内科医としての総合的な診療能力を備えた、外来での診療経験が豊富な診断・治療一般のエキスパートばかり。優れた臨床医の思考の筋道・判断の根拠を読んだら、きっと目から鱗の発見も多いはず。明日からの外来診療に役立つ何かが、たくさん詰まっています。
第1章 症候で切った感染症診療のコツ
1 発熱─「感冒」としてよいのか愚直にチェック!
2 頭痛─コワイ頭痛は「最悪」「増悪」「突発」の3つを確認せよ
3 リンパ節腫脹─「局所性か? 全身性か?」「急性か? 慢性か?
4 「かぜ」の診かた─抗菌薬ではなく「納得のいく説明」を処方する!
5 咽頭痛─見逃し厳禁! 急性喉頭蓋炎,扁桃周囲膿瘍,咽後膿瘍,顆粒球減少症
6 咳─気管支喘息,結核,異型肺炎,百日咳,悪性腫瘍は常に念頭に!
7 腹痛─消化器疾患以外の腹痛は要注意!
8 下痢・嘔気・嘔吐─急性胃腸炎症状+αの病歴や身体所見が診断を示唆!
9 皮膚の発赤・腫脹─「壊死性筋膜炎」「ガス壊疽」「トキシックショック症候群」に注意!
10 急性の関節痛・関節炎─単関節炎で見逃してはならない化膿性関節炎
11 せん妄・意識障害─せん妄をみたら内因性疾患をまず検索!
第2章 感染症外来診療で絶対知っておきたいマスト15の知識
1 外傷と抗菌薬
2 小児の副鼻腔炎,中耳炎─未来に抗菌薬を残すために
3 気管支炎,肺炎
4 インフルエンザ
5 Red eye─眼の充血の鑑別
6 膀胱炎,前立腺炎,腎盂腎炎
7 内科診療の現場で遭遇する性感染症
8 外来で出会う輸入感染症─帰国者の発熱の鑑別・旅行者下痢症
9 高齢者と感染症
10 大人のワクチン
11 外来での微生物学的検査
12 外来感染対策
13 高齢者施設と感染症
14 抗菌薬をほしがる患者への対処法
15 外来抗菌薬事情
感染症診療役立ちコラム
その1 外傷のマネージメント:抗菌薬と破傷風予防策
その2 感染症を診るために何が必要か
その3 感染症の情報をどこで入手するか
その4 成人のパルボウイルス感染症“そのむくみ,感染症です!”
その5 眼科緊急度の高い疾患
その6 急性レトロウイルス症候群
その7 性感染症を鑑別に挙げるべき生殖器以外の症状・所見
その8 高齢者のサイレントシリーズ
その9 高齢者感染症診療に使える虎の巻
その10 ワクチンの概略
その11 渡航先と推奨されるワクチン
その12 外来診療で有用な迅速検査
その13 外注検査を使うコツ
MEMO 感染症に関連するお役立ちウェブサイト1,2
巻頭言
本来、感染症診療の主たる場は外来にあります。しかし従来の感染症の診断・治療に関する情報は、入院している重症患者を念頭に置いたものが多くなっていました。
実際に外来で感染症診療を行うとなると、「本当のところどうすればいいのか」と不安に感じる医師は多いと思います。それは、1つには感染症診療の一般的方法論が医学教育の中で教えられてこなかったことが理由です。もう1つには、外来での個別の感染症の診療の方法について、具体的に問われてくることがなかったということが挙げられます。多くは軽症の感染症で、自然治癒する疾患も多いものですから、多少妥当性を欠く診療を行っても、患者さんに大きな迷惑をかけることが少なかったからです。これでは問題意識を持つことも難しいでしょう。
しかし実際には外来での診療がうまくいかず診断が遅れ重症化する、無駄な抗菌薬投与でアレルギーなどの無用な副作用で患者さんが迷惑を被る、などの問題も起こっています。これは見過ごせません。
ということで、診療の参考となるものが必要となりますが、これまでに「外来での感染症診療」を取り上げたテキストは多くありません。そこで今回この「外来での感染症診療」を真正面から取り上げることとしました。
執筆して下さったのは、実際に外来での診療経験が豊富な先生方です。中でも注目して頂きたいのは、執筆者の先生方が内科医としての総合的な診療能力をお持ちである、ということです。つまりは診断・治療一般のエキスパートなのです。このような先生方に、ご自身の実践をふまえて、「外来での感染症診療のコツ」を披露して頂きました。優れた臨床医の思考の道筋・判断の根拠をみて取ることは、何よりも参考になると考えています。読者にとっては「へえ、あの先生はこう考えるのか!」と、目から鱗の発見も多いはずです。
本書は外来診療を行うすべての医師を対象にしています。初期研修医から、バリバリ活躍されているベテランの医師の方々まで、是非手にとってお読み頂ければと願っています。
明日からの外来診療に役立つ何かが、たくさん詰まっているはずです。
2010年4月
具 芳明、岸田直樹、大曲貴夫